ネヴィル・トランターの人形つかいっぷりがすげぇ!WS参加レポート

ネヴィル・トランターのワークショップ

ネヴィル・トランターのススメ

ことのはじまりはKeiさんのおすすめだった。

Keiさん

しもとりくん、おすすめのワークショップがあるよー!ネヴィル・トランターっていう2年前に飯田(日本最大級の人形劇フェスの街)にきた人がいるんだけど、人形遣いって普通は黒子になりたがるじゃない?この人は別に自分の存在を布とかで隠したりせずに地のまま立っていてたまに人形としゃべったりするの。おすすめだよー

かなり意訳したがこのようなことをおっしゃられていた。

keiさんはプロのclownとしてコンビで活動されている方で、長野県飯田に住んでいる。 光洋さんのマイムクラスに時々お見えになるので僕自身仲良くさせてもらっているのだが、この方がおすすめしてるのなら間違いなく俺に刺さる。そう確信した。

ネヴィル・トランターWSに向けて

受講枠締め切ってた。

2019年6月11日にTwitter上で彼の公演を検索。この時点では公演情報しか見つからずワークショップ情報はなかった。

しかし、この動画や以下の文章を見て期待が高まる。

──人形劇をよくご覧になる方には、おなじみのアーティストなんですね。
世界の人形劇界では、この人の名前を知らない人はいないかもしれない。特に人形遣いの中ではかなり有名な方です。今回は残念ながらスケジュールの都合で実施できませんが、前回来られた時は1日8時間ぐらいの長時間のワークショップをやってもらいました。参加者は、彼の要望で「プロフェッショナルの操演をやっている人に限る」と。要するに、初歩のいろはのことをやっても仕方がないので、「どうしてこの人形がこんな風に見えるのか」とか、「お客さん目線から見た時に、これがどんな風に見えているか」というトレーニングをやってもらいました。これも基礎的なことなんですけど、彼がやるのと他の人がやるのでは全く違って見えるんです。

“脚本、美術、出演を一人で手掛ける人形劇界のスーパースター、〈Stuffed Puppet Theatre〉がオランダから来名”より引用

2019年6月29日に再度検索。すると前回検索した次の日、6月12日にワークショップ情報が開示されてた。

あわてて応募したところ、受講枠は締め切り、見学枠のみ受付しているという段階に。そのため本当は受講枠で受けたかったが、見学枠で応募。悔しい思いをした。あの段階では東京でワークショップがあるかどうかさえわからなかったので飯田まで行こうかとさえ考えていたのに・・・悔しい。

東京公演のちWS

今回の彼は東京で2公演行い、後にワークショップという日程だったので先に2公演拝見してきた。

本編の公演は正直にいうと予想してたおもしろさこそなかったものの断片的に日常で真似したくなるような人形の仕草だとか声の感じとかがたくさんあった。

ネヴィル・トランターのワークショップ

んでWS行ってきた

日時2019年8月6日
13:00〜17:00
会場新宿南口 プーク人形劇場

一言でいうと俺にとってとても有益な金言のオンパレードだった。

サラッと「人形だからできるもの。人形でしか表現できないもの」を言葉にしていて、そういう根本的なことを自分の言葉として発していてそういうことをできない自分としてはとてもかっこよく見えた。

以下断片的にメモしたもの。

  • 動きの基本はstillness movement stillnessだ
    • ↑静止、動作、静止という意味なのだが、stopではなくstillnessという語を使ってるのが興味深い。そういえばスタチュー界の大御所shivaさんも同じようなことをおっしゃられていた。
    • 最初に止まりがあり、動きがあり、止まりに戻る。
    • そうすると最後の止まりの瞬間に観客は舞台の世界に引き込まれるのです。
    • 例えば人形がずっと動いていると観ている我々にとってどんな変化が起こるだろうか。やってみよう。
    • ご覧のとおり、考える時間感じる時間がなくなってしまう。
    • 人形劇は観客と舞台とのコミュニケーションなので、観客になにか与えるためのstillnessが必要
    • 静止 静かな時間が観客になにかを届ける
  • 私は今までの経験から観客は人形の次の行動を待ってくれてるということがわかっています。
    • 緊張感を信頼する
  • 動きの早い遅いについて
    • 最初はゆっくりな動きではじめた方が観客は入り込みやすい。(←しもとり、この言葉にかなり興奮。)
  • 押される or 引っ張られる この2つが原則
  • アクションとリアクション
    • リアクションは瞬時に行われる。
  • 人形の造形は誇張する。演劇と同じだ。
    • 腕は長く、首も長く。
  • 私は彼らが一番優れた俳優だと思っています。
  • 生身の俳優がやるとオーバーなアクション(例えば聞き耳を立てるために手を耳に添えるようなジェスチャーや、なにかを見るために額に広げた手のひらの親指を水平にくっつける仕草など)も人形がやるとオーバーなアクションにならない。自然な演技に感じる。
  • 人形というのは無垢(innocent)な存在だ。無垢innocentであること、このことが人形の持つ力強さの一つだ。
  • (受講生が何度か人形を動かす課題をやったあとに)何回同じことをやっても人形はさもその瞬間にはじめて起きたことのように演技ができる。これが生身の人間だったら疲れたり飽きたりすることもある。でも人形だといつだって新鮮な印象を与えられるんだ。不思議だよね。
  • 人形遣いがリラックスすることは難しい。人形から距離ができた時にはじめてできる。
  • 全てのキャラクターは考えるリズムが全く違う。
  • 人形は全て「生きよう生きよう」としている。
  • 演技を作る上で、僕は声の出し方を最後につくる。
    • それが男性なのか女性なのか。何歳なのか。何をしたいのか。逆に何をしたくないのか。
  • 隠し事をしている人形は興味深い。
  • ベビーパウダーはすべてをクリーンにする
  • 人形の素材はフォームラバー
  • 腹話術は唇の動かなさに対して人形が生きてることを実感させる。しかし、最初に人形遣いがしゃべってるところを見せてしまえば観客は唇が動いてることなんて気にならなくなるんだ。

以上、断片的で申し訳ないが、今後の自分の活動に間違いなく多大な影響を与える大切な言葉や考え方がたくさん詰まったワークショップだった。

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